分譲マンションを貸す時

鍵の交換

近年、住宅のセキュリティーに対する関心が高まるとともに、分譲マンションにおいてもオートロックシステムをはじめ、防犯カメラ、ガードマンの常駐など、様々なセキュリティーが完備されるようになりました。
 一方、賃貸における貸主には、賃借人へ対し安全で快適な生活を提供する義務があるため、マンションにオートロックや防犯カメラがあるから防犯対策は十分だということにはなりません。そこで今回のコラムでは、特に入居者の関心が高い「鍵(玄関キー)」についての貸主の対応策をご説明します。
 ピッキングで狙われやすい鍵のタイプが「ディスクシリンダーキー」や「ピンシリンダーキー」といわれており、慣れている人であれば1分以内で簡単に開錠できるそうです。そこでこのようなタイプの鍵をお使いの場合は、できる限り「カードキー」や「ディンプルキー」に交換する、またもう1つ鍵を取り付ける「ワンドア・ツーロック」の対策を取るようにしましょう。しかしこれらの対策を取るにも、いくつかの問題があります。1つ目の問題は、一般的にオートロックと玄関ドアの鍵は、同じ鍵で開錠できる「逆マスター」というシステムを採用しています。よって玄関ドアの鍵を交換したことにより、新しい鍵ではオートロックを開けることができず、オートロックと玄関ドアの2種類の鍵を使い分けなければなりません。
 2つ目の問題は、玄関ドアは一般的に共用部分となるため、勝手に工事ができません。「ワンドア・ツーロック」の対策を取る場合は、事前に管理組合に届け出る必要があります。
 次に、今まで住んでいた賃借人が退去し、新たな賃借人が入居するという場合は、必ず玄関キーを交換し新たな賃借人にお部屋を引き渡すようにしましょう。今まで住んでいた入居者が合鍵を作製していれば、退去後も簡単にお部屋へ侵入することができ、盗難事件や殺人事件が発生します。そしてこの事件の責任は、鍵を交換しなかった貸主にあるとされます。
 最後に、「逆マスター」について補足で説明しましょう。玄関キーを交換する際、オートロックでも使用できる「逆マスター」の鍵を取り付けたい場合、管理組合または管理会社へ申請することにより取り付けが可能となります。しかし申請してからシリンダーと鍵が届くまで1ヶ月前後かかりますので、日数には余裕を持って申請しましょう。
 言うまでもなく、ドアチェーンが付いていない玄関ドアにチェーンを取り付けるのは、当たり前のことですが、鍵の交換1つで入居者の安全度が高まるのなら、安いものです。

火災警報器

昨今の消防法の改正(平成16年6月公布)により、東京都では平成22年4月から既存住宅においても火災警報器の設置が義務付けられます。これは住宅火災の死者の6割以上が逃げ遅れにより命を落としているという時代背景から、法改正が行われました。そして死者の約45%が、午後10時から翌朝6時までの睡眠時間帯における火災です。しかし火災警報器設置は、法律で義務化はするものの、違反した時の罰則の規程はありません。
 それでは平成22年4月以降、火災警報器が設置されていない分譲マンションのお部屋を賃貸することについて、どのような影響がるのかをご説明いたしましょう。
 平成22年4月以降、お部屋に火災警報器が設置されていなくても、何ら罰則はありません。しかし火災警報器の設置されていないお部屋またはご近所のお部屋から火災が発生し、入居者が逃げ遅れたためにケガをされたり死亡された場合、その責任は貸主にあるものとする見方が非常に強くなります。これは火災警報器の設置は、借主が行うものではなく貸主が行うものとする考えから、火災警報機の設置義務は貸主にあり、貸主は住宅に火災警報器を設置しなくてはならないという消防法を犯した違法な住宅を借主に賃貸していたことになります。
 平成13年9月、まだ記憶にも新しい新宿歌舞伎町のビル火災では、44名の方が犠牲になりました。ビル内の避難通路の確保が不十分だったことから、ビルの所有者とビルの管理者がその責任を負うことになりました。
 大げさな言い方ですが、分譲賃貸マンションの1室といえども、人の命に関わる事業となります。入居者に対し安全で快適な生活を提供するのは、貸主の義務でもあります。現在、お部屋に火災警報器が設置されていない分譲マンションを賃貸されている場合、平成22年4月を待たずすぐに火災警報器を設置してあげましょう。

特別な物は撤去する

今までオーナー自身が住んでいた分譲マンションを分譲賃貸として賃貸する場合、そのお部屋から何を持っていくか、何を置いていくかといろいろ迷うものです。賃貸で入居する入居者としては、特別な事情が無い限り、使用できるものはそのまま使用したいと考えるものです。但し、下記のような物はお部屋に置いておかず、撤去してオーナー自身で保管・管理しておいた方が良いでしょう。
1)大切な記念品
 例えば、結婚のお祝いで頂いた「壊されたら困る照明器具」、子供の出産祝いに専用庭へ植えた「枯れたら悲しい記念樹」などは、当然お部屋から撤去し、オーナー側で保管・管理するべきです。特に専用庭やルーフバルコニーの管理については、入居者へ強制的に義務付けることは難しく、必要最低限の管理(芝が伸びたら刈る、ゴミが飛んできたら処分する程度)をお願いするまでとなります。
2)高価な物
 特注でオーダーした年代物の障子やカーテン・レース・鏡・シャンデリアなどは、入居者の故意・過失により汚損・破損したとしても、高額な修理・交換費用を請求しても、トラブルの基となってしまいます。通常よりも高価なものは、できる限りお部屋から撤去し、オーナー側で保管・管理するようにしましょう。
3)神棚のお宮(社)
 神棚には、お宮(社)の他、様々な物が祀られております。神棚だけであれば物を置く棚として利用できますが、お宮(社)に祀るお神札とは、神様のご加護を受け幸福な家庭を築くために、一家揃って神様を尊び敬うために祀るお神札と言われているため、当然一緒に引越しをするべきでしょう。

新築未入居の分譲賃貸マンションを貸す時

近年では、投資用(賃貸することを目的)として新築の分譲マンションを購入する方も増えてきているようです。また、新築の分譲マンションを購入し、新居へ引っ越す前に転勤となり、やむを得ず分譲賃貸(リロケーション)として第三者へ賃貸する事になったという話もよく聞く話です。これらのような分譲賃貸のケースでは、既存の分譲マンションの賃貸とは違い、購入した新築分譲マンションのお部屋に一度も住むことなく第三者へ賃貸することになるため、いくつか注意しなければならないことがあります。
1)マンション施工会社等による定期点検への対応
 新築の分譲マンションでは、お部屋の引渡しの3ヶ月後・1年後・2年後などに、施工会社等によるお部屋や共用部分の定期点検というアフターサービスを実施しているのが一般的です。しかしお部屋を賃貸していると、定期点検の度に賃貸の入居者へ断って入室し、お部屋を隅々までチェックするということは、とても手間の掛かることですし、入居者にとっても不快に感じる方もいることでしょう。そこで入居者へは、賃貸借契約締結前に書面で「定期点検各期には、入居者自身で積極的にお部屋のチェックをして頂く」よう、お願いしておきましょう。入居者も契約前にお願いされれば、気持ち良く協力してくれるはずです。
2)所有権移転登記
 賃貸借契約の締結前には、賃借人へ対し登記簿謄本等によって貸主を明らかにしなければなりません。しかし新築の分譲マンションでは、売主から買主への所有権移転登記完了までに相当の時間を要します。そのため、お部屋の引渡しを受けても登記完了まで賃貸借契約を締結できないとなると、時間的なロス、即ち金銭的にも大きなロスを生んでしまいます。そこで賃借人に対し、マンション購入の売買契約書や登記申請書の写しなどで貸主たる証明ができるように準備しておきましょう。
3)マンモスマンションの賃料
 数百世帯から成る大型の新築分譲マンションの場合は、お部屋の完成引渡しの時期の前後になると、一気に数十件にも及ぶライバル物件(同じ分譲賃貸として入居者の募集をするお部屋)が賃貸市場に出てきます。そして分譲賃貸物件が供給過多の状態に陥ると、マンション全体の賃料相場が下がり、予定していた賃料を確保できなくなる可能性もあります。大型の新築分譲マンションでの分譲賃貸では、多少余裕のある資金計画を立てておくべきでしょう。

駐車場と家賃の関係

現代の車社会では、一家に2台の車を所有されているご家庭も多いことでしょう。しかしながら分譲マンションにおいては、その世帯数分の駐車スペースが確保されていないマンションが多いため、マンションを借りようとしたが、駐車場が無いという理由でそのマンションを見送った経験があるという方も多いことでしょう。そこで、分譲マンションを貸そうとする時、駐車場の有無が賃貸取引にどの程度影響するものなのかをご説明いたします。
 基本的な考えでは、駐車場はないよりあった方が良いのは当然の話である。殆どの分譲マンションの規則では、マンション内の駐車場を使用していた居住者が引越しによって駐車場を使用しなくなると、その駐車場の使用権は一度管理組合に返還しなければならず、引っ越し後も引き続き使用権を所持することは困難となります。よって、駐車場が空くのを待っている居住者がいれば、その居住者が優先的に駐車場の使用権を得ることができます。そのため分譲賃貸として入居者を募集する時には、駐車場はないという状態になってしまいます。
 東京都のデータを見ると、一世帯あたりの自家用車所有割合が約49%となり、二世帯に一台の割合で自家用車を所有していることになる。これと比較し千葉県のデータを見ると、一世帯あたりの自家用車所有割合が約83%となり、8割以上の世帯で自家用車を所有していることになる。東京都内では、発達している鉄道・地下鉄などの交通機関を利用して移動する方が多く、また駐車場料金も高額なため、自家用車の所有率が低いと考えられます。
 このようなことから大雑把な分析となるが、繁華街よりも郊外の方が駐車場を必要とするニーズが高いと言えるでしょう。分譲賃貸で駐車場を確保できない場合の家賃とは、その分譲マンションが繁華街にあり、最寄りの交通機関も調っている場合には、家賃には大きな影響を及ぼしません。しかしその分譲マンションが郊外にあり、交通機関も満足ではない場合には、家賃に大きな影響を及ぼします。ただしマンションの近隣に月極駐車場が多数存在している場合は、大きな影響はないでしょう。

賃貸せず空室のまま放置すると

 良く「空家にするなら、タダでもいいから人に貸せ」と言われます。これは長期間空家にしておくことで、住宅や住宅内の設備等の劣化が急激に進み、資産価値を落としてしまうとされています。そして分譲マンションといえども、お部屋を長期間空き部屋にしておくと、
 1)室内に空気がこもり、結露や悪臭の原因となる。
 2)悪戯や設備などの自然劣化による被害に気付くのが遅れる。
 3)バルコニーにゴミや砂埃が溜まり、近所にご迷惑を掛けてしまう。
 4)管理組合で行う消防点検や配管清掃などが行われない。
 5)マンションで何かあった時には、高い交通費を掛けて足を運ばなければならない。
などの弊害が予想されます。
 そこでマンション専門プラザでは、マンションが空室となるがマンションを人には貸したくない、売りたくもないというオーナー様のために、「空室管理システム」をご用意しております。このシステムは、空室となったマンションのお部屋を弊社の担当者が毎月1回または2回定期的に巡回し、室内の空気の入れ替え作業、バルコニーや郵便受けの清掃作業などを行います。また管理組合で行う点検・清掃業務にも立会うなど、不在期間のお部屋の見張り役として、ご活用いただけます。
 料金は月1回の巡回であれば月々2,100円、月2回の巡回であれば3,675円と、とてもリーズナブルな料金体制です。低料金で資産価値を守れる「空室管理システム」をご利用下さい。

賃貸と売却の選択方法 パート1

転勤や住み替えなどの際、まずは現在住んでいる分譲マンションを売ろうか貸そうかと考えることでしょう。弊社へ分譲マンションの家賃査定を依頼されるお客様の内、実に6割以上の方が売却も同時に検討されております。今回のコラムでは、売却と賃貸ではどちらが得かという、万人に当てはまるアドバイスではありませんが、選択をする際のヒントをご提供いたします。
 近年、首都圏では土地や物価の値上がりに伴い、マンションの価格も上昇しました。しかしこれからの近い将来、現在の価格がどのように推移するかを予測することは、とても難しい状況です。アメリカのサブプライム問題、原油高、円高、デフレ経済、株価下落、年金問題、少子高齢社会など、これからの日本経済を不安視する要素はたくさんあります。その道の専門家の方々でも、土地値は上がる・下がる・都心部と郊外との二極化が進むなど、色々な見方をされています。あなたはどのような予想をされますか?
 一方、家賃というのは、土地の値段が2倍になっても、家賃が2倍になるようなことはありません。家賃とは土地と建物の賃貸による対価であり、土地の価格が2倍になっても建物の価格が2倍にはならないからです。これらのことを前提に、現在、住宅ローンの返済中である場合の賃貸を考えてみましょう。
 賃貸した場合の収益性を表す指標には、「表面利回り・実質利回り」というものがあります。表面利回りとは、「年間賃料収入÷物件の販売価格(土地・建物の売値)」、実質利回りとは、「(年間賃料収入-※必要経費)÷物件の販売価格(土地・建物の売値)」で表され、その数値が高いほど、収益性が高いとされます。そして賃料収入が減ったり、経費が増えたり、土地・建物の売値が上がれば、利回りが下がります。
 それぞれのマンションの内容や地域によって違いはありますが、分譲マンションの賃貸の場合、実質利回りが5%以上あれば収益性はそれなりに確保できていると言えるでしょう。しかし実質利回りを計算する際に※必要経費には住宅ローンの金利を含みませんが、土地・建物の売値と同じくらいの住宅ローンを抱えながらの賃貸で、住宅ローンの金利が2%だとした場合、実質利回りが5%であっても実際は金利の2%を差し引き、実質利回りを3%として考えるべきです。このような場合は、売却も検討すべきでしょう。

例)物件価格3,000万円、賃料17万円、必要経費4.5万円、住宅ローン残高3,000万円、金利2%とした場合
 <表面利回り> 賃料17万円×12ヶ月÷物件価格3,000万円=6.8%
 <実質利回り>(賃貸17万円-必要経費4.5万円)×12ヶ月÷物件価格3,000万円=5%
  実際は、実質利回り5%-住宅ローン金利2%=本来の実質利回り3%
※必要経費…管理費・修繕積立金・固定資産税・都市計画税・不動産会社に支払う管理委託料等

賃貸と売却の選択方法 パート2

賃貸と売却の選択方法パート1(住宅ローンを支払いながらの賃貸の場合)に引き続き、パート2では、賃貸するマンションを近年中に売却する可能性がある場合について、アドバイスさせて頂きます。
 この場合、注意点が2つあります。1つ目は、2DK以上のファミリータイプのお部屋を賃貸中(賃借人が入居中)のまま売却しようとする場合、オーナーチェンジ物件として扱われます。オーナーチェンジ物件とは、所有者(貸主)の名義だけを移転(売買)するというもので、購入する方は自己居住用としてではなく、投資用の不動産として購入を検討します。分譲マンションの購入者とは、ファミリータイプのお部屋であれば自己居住用に購入するという方が圧倒的に多く、そのため購入者の絶対数が減り、売値を下げて販売するのが一般的となります。
 また賃借人との賃貸借契約を解除して、お部屋が空室となればオーナーチェンジ物件ではなくなりますが、賃貸借契約の解除には、6ヶ月以上の月日と相当額の立退き料を準備しなければなりません。
 2つ目の注意点は、譲渡所得に対する税金が発生する場合の売却です。詳しくは国税庁のホームページをご覧下さい。簡単にご説明しますと、課税譲渡所得金額に所有期間によって異なる税率を掛けて所得税が計算されます。課税譲渡所得金額とは、マンションの売却代金から、取得費用(減価償却費相当額を差し引いたマンションの購入代金・仲介手数料・登記費用・リフォーム費用等)と譲渡費用(仲介手数料・登記費用・リフォーム費用・立退き費用等)を差し引いた金額です。所有期間5年以下は短期譲渡となり、税率39%(所得税30%・住民税9%)、所有期間が5年を超える場合は長期譲渡となり、税率20%(所得税15%・住民税5%)となります。
 しかしマイホーム(居住用財産)の売却の場合は、所有期間に関係なく何点かの条件を満たすと「3,000万円の特別控除」を使用することができます。これは譲渡所得から最高3,000万円まで控除できるものです。そしてこの控除を受ける条件の1つに、譲渡資産に住まなくなった日から3年後の年末までに譲渡するという条件があります。つまり住んでいたマンションから引越し、マンションを3年以上賃貸した後に売却した場合、3,000万円の特別控除を受けることができなくなります。
 譲渡益が出て所得税が掛かるような場合には、3,000万円の特別控除を受ける為に賃貸ではなく売却を検討することもお奨め致します。

例)所有期間4年、売却代金5,000万円、取得費用3,800万円、譲渡費用200万円とした場合
  課税譲渡所得金額=売却代金5,000万円-(取得費用3,800万円+譲渡費用200万円)
              =1,000万円
  ○3,000万円の特別控除を使用すると、税金は0円。
  ○3,000万円の特別控除を使用しないと、譲渡所得に対する所得税・住民税は合計390万円
    課税譲渡所得金額1,000万円×短期譲渡の所得税率30%=300万円
    課税譲渡所得金額1,000万円×短期譲渡の住民税率9%=90万円

賃貸と売却の選択方法 パート3

一度マイホームを所有すると、その後二回は不動産の売買を経験すると言われております。初めて手にしたマイホームは、建物が古くなる・家族が増えるなどの理由から数年後に住み替えをし、子供たちが独立した・二世帯住宅を建築するなどの理由からまた数年後に住み替えをします。もちろん、初めて手にしたマイホームに永住されている方もたくさんいらっしゃるとは思いますが、少なくとも近い将来の家族構成の変化や子供の教育環境、両親の介護、職場環境の変化などがあった時のマイホームの行く末は、事前にイメージ位はしておくべきでしょう。そこで今回の分譲賃貸コラムでは、分譲マンションを空室の状態で売却する場合と、賃貸中の状態で売却する(オーナーチェンジ)場合の比較をしてみましょう。
 まず空室の状態での売却価格とは、近隣の相場や市場の動向、お部屋の内装具合等によって売値が決まります。一方、オーナーチェンジでの売却価格とは、購入者は投資用の不動産として購入するため、利回り(賃貸と売却の選択方法パート1に解説あり)によって売値が決まります。ここで、最近弊社で査定した2件の分譲マンションの例を比較してみましょう。

例1)東京都中野区、平成18年築、約56m2
 ○空室での売却予想価格 約4,300万円
 ○オーナーチェンジでの売却予想価格 約3,430万円
  ・家賃 20万円(年間240万円)
  ・利回り 7%以上が必要

例2)東京都新宿区、平成10年築、約67m2
 ○空室での売却予想価格 約5,000万円
 ○オーナーチェンジでの売却予想価格 約4,800万円
  ・家賃 28万円(年間336万円)
  ・利回り 7%以上が必要

 例1と例2の空室とオーナーチェンジでの売却予想価格を比較すると、例1では870万円の差に対し例2ではわずか200万円の差となっております。この結果から言えることは、近年中に売却の可能性があるにも関わらず分譲マンションを貸そうとする時、例1のマンションでは綿密な将来の計画を立て、賃貸と売却を比較検討する必要があり、一方例2のマンションでは、多少気軽に賃貸と売却の選択ができるという結果です。
 分譲マンションを貸そうとする時、近い将来に分譲マンションを売却する可能性がある場合は、オーナーチェンジでの売却価格も視野に入れ、賃貸を検討することをおすすめ致します。

大家さんとなるための準備

この分譲賃貸コラムでは、何度か「分譲賃貸の大家さんとは、賃貸業に関しては素人の大家さんである。」ということを書いております。元々は自己居住用(自ら住む為の住宅)として購入される方の多い分譲マンションでは、住み替えや転勤によってやむを得ず賃貸するオーナーが多数おります。そして勉強不足のまま賃貸業を始めてしまうことが、入居者とのトラブルが絶えない状況を作り出していると言っても過言ではありません。では一体どのような手順で分譲賃貸の大家さんとなれば良いのか、それをこれからご説明いたします。
 まずは心構えからです。私はこの心構えこそが、優良大家さんとなるための何よりも大切な事だと思っております。仮に1ヶ月間働いて月給50万円の給料を頂いているとしましょう。この方が、所有している分譲マンションを家賃20万円で賃貸したとします。このようなケースは良くあるケースですが、なんと月給の5分の2の収入を、分譲賃貸によって得ているのです。1ヶ月間の内、2週間弱の労働対価と同じだけの賃料を得ていることになるのです。このように考えると、とても片手間ではできない事業(賃貸業)ですよね。そのために、賃貸業の煩わしい作業を代行する私たちみたいな賃貸管理会社が存在しているのです。たとえ分譲マンションの一室だけの賃貸といえども、これは立派な事業なのです。このことを肝に銘じることが、分譲賃貸オーナーとなるための初めの一歩となります。
 事業というのはリターン(賃料収入、礼金収入など)もあれば、リスク(リフォーム・修繕費用、賃借人の家賃滞納、税金納付など)もあります。そこで賃料と経費を予測することが必要です。これも自ら相場を調べ家賃を予測すること、そして将来的な経費を予測することは大変困難を極めます。これも同じく分譲賃貸に精通している賃貸管理会社等に聞かれ、家賃の査定や経費の説明を受けるのが最良でしょう。
 次に、賃貸業の煩わしい作業を代行してくれる賃貸管理会社を1社決めます。2~3社のお話を聞き、比較検討されることもおすすめ致します。
 次は、賃貸する再に準備しておく物があります。まずは設備関係の取扱説明書です。入居した入居者から、設備の使用方法等について度々連絡を頂くというのは、入居者にとっても手間の掛かる話です。取扱説明書関連の書類は、マンションの管理規約・使用細則とまとめて入居者へお渡しできるように順次しておきましょう。またお部屋の鍵は、余分に入居者へお渡しできるくらいの本数を用意しましょう。最低3本、3LDK以上であれば4本あれば十分です。
 最後は、転勤の間だけを賃貸するというリロケーションの場合ですが、特別な手続きを要する場合があります。これは「リロケーション物語」をご参照ください。

リフォームと家賃の関係

仮に、分譲賃貸としてお部屋を賃貸に出す為に、クロス・カーペット・畳の張り替えで50万円分のリフォームをしたとします。リフォームをする前の予想家賃が100,000円だとすると、リフォームをしたことによって家賃をいくらに設定しますか? 平均入居期間を3年間とした場合、次の4つの中からお選び下さい。

1)契約期間が2年間のため、2年間で50万円のリフォーム代金を回収できるように家賃を設定する。
 500,000円÷24ヶ月≒21,000円(家賃への上乗せ分)
 100,000円+21,000円=家賃121,000円で設定
2)3年後、入居者が退去した時にまたリフォームをしなければならないので、3年間で50万円のリフォーム代金を回収できるように家賃を設定する。
 500,000円÷36ヶ月分≒14,000円(家賃への上乗せ分)
 100,000円+14,000円=家賃114,000円で設定
3)国土交通省の原状回復ガイドラインを参考に、クロス・カーペット・畳の耐用年数が約6年とされているので、6年間で50万円のリフォーム代金を回収できるように家賃を設定する。
 500,000円÷72ヶ月分≒7,000円(家賃への上乗せ分)
 100,000円+7,000円=家賃107,000円で設定
4)その他の設定方法

<解答>
 この問題には、正確な答えはありません。強いて言うなれば4)です。
 私の考えでは、本来リフォーム費用は家賃に上乗せしたり、他の方法によって借主から回収するという考え方ではありません。自然損耗や経年劣化による償却部分は家賃に含まれているため、オーナーの負担であるという原則があります。よってリフォームをして綺麗になった部屋は、近隣の相場と比較しいくらで貸すことができるかと単純に考えます。リフォーム前の元々の汚れや傷の程度、設備の劣化状況等によってリフォーム代金が50万円・100万円・300万円と変わるだけで、リフォームが完成した状態は、リフォームの金額差ほど変わりません。
 リフォームと家賃の関係は、リフォーム代金ではなく、借主が気持ち良く生活できるようにする為には、どの程度リフォームをするべきかと考え、賃貸経営に望んでいただければ幸いです。

入居者の募集条件

アパートや賃貸マンションとは違い、分譲賃貸では、同一棟内のお部屋でも各部屋ごとに所有者が異なるため、入居者を募集する際の様々な募集条件も異なります。様々な募集条件とは、家賃や敷金・礼金の金額のほか、室内でのペット飼育やタバコの喫煙の可否、そして契約形態などを言います。今回の分譲賃貸コラムでは、これらの募集条件が賃貸経営自体にどのような影響を及ぼすかをご説明いたします。
 まず敷金や礼金と家賃の関係は、1つ下の分譲賃貸コラムでご説明しておりますので、そちらをご参照下さい。
 次に、ペット飼育についてです。近年のペットブームもあり、殆どの分譲マンションにおいてもペットの飼育が認められるようになりました。しかし、まだまだペット飼育が可能な賃貸住宅は希少性が高く、家賃が相場より若干高くても、借主が早期に見つかるケースが多々あります。分譲賃貸の場合では、各オーナーによってペットに対する考え方が違う為、管理規約でペット飼育が認められている分譲マンションでも、各部屋によってペットの条件は異なります。リロケーション(転勤期間のみの賃貸)で賃貸し、転勤期間が終了した時にまた自ら居住することを考えているオーナーの場合、その殆どのお部屋はペット飼育を禁止している傾向があります。またペット飼育による貸主側のリスクを軽減する為に、ペット飼育の際は敷金を1ヶ月分上乗せして賃貸する方法もあります。
 ペット飼育の禁止と同じように、室内でのタバコの喫煙を禁止するという条件が付いている分譲賃貸物件も数多くあります。現代の日本では、年々喫煙率が下がってきているとは言え、依然として男性約45%、女性約14%の喫煙率を誇る国です。これは米国や欧米の約2倍になり、賃貸条件での禁煙とした場合は借主を限定する条件となり、マイナスに作用する傾向にあります。また入居者の数年間の入居中に室内で数本のタバコを吸ったとしても、明らかにクロスなどが黄ばんでいない限り、そのジャッジは大変難しいものになります。
 最後に、契約形態のご説明です。普通借家契約と定期借家契約の契約形態の違いによる影響は、「定期借家契約の賃料」のコラムでご説明したとおりです。その他では、法人契約希望や法人契約限定という条件です。長い間、借主は個人よりも法人の方が安全だと言われていましたが、最近の賃貸業界では、滞納分の家賃を保証する会社や保証人を代行する会社の出現、及び個人の方にはカード審査まで行う時代ですので、個人・法人については、あまりナーバスにならなくても問題ありません。優良な個人を、法人希望という賃貸条件でシャットアウトしてしまうことは、当然家賃等にも影響を及ぼします。
 分譲賃貸のオーナーは、その大半が賃貸業に関しては素人の方です。そのため、トラブルとなり得る事はできる限り避けておこうという強い考えが、アパートや賃貸マンションに無いこれらの分譲賃貸特有の賃貸条件を生み出しているのでしょう。

敷金と礼金と家賃の関係

賃貸住宅に引っ越すとなると、敷金や礼金、前家賃、仲介手数料等、賃貸借契約時に家賃の5~6か月分を用意しなければなりません。仮に家賃が20万円であれば、引っ越し代の他に100万円以上も必要になります。
 分譲賃貸に関わらず、最近の賃貸市場では、敷金なし・礼金なしという賃貸物件が増えてきました。これは賃貸借契約時に借主が支払う多額の契約金等の負担を減らすことにより、お部屋を借りやすくする方法の1つです。そして貸主は、契約時の借主の負担を減らし、減らした分を毎月の家賃で回収することができれば、貸主にとっても損はありません。
 そこで今回の分譲賃貸コラムでは、敷金や礼金と家賃の相互関係についてご説明します。
 まず敷金とは、一般的に借主の金銭債務を担保する目的で貸主に預け入れる金銭ですので、家賃の滞納や借主の過失による損害等がなければ、敷金は全額返金されます。一方、礼金とは、様々な解釈や定義が存在していますが、借主にとっては返金されない金銭、すなわち納め入れる金銭となります。よって敷金の増減は、家賃に大きな影響を及ぼしませんが、礼金の増減は、家賃の設定に大きく影響すると考えます。また、リロケーションなどによる3年以下の定期借家契約の場合では、極力礼金の金額を抑えて設定することをお奨め致します。
 このことを踏まえ、弊社では礼金と家賃の設定を下記のような計算式で計算します。

<例題> 家賃180,000円、礼金360,000円(家賃の2ヶ月分)
    ⇒礼金を180,000円(家賃の1ヶ月分)とした場合の家賃は?
<考え方> 入居者の平均入居年数を3年(36ヶ月)※1とし、
    契約時に減額した礼金180,000円を36ヶ月掛けて回収する。
  180,000円÷36ヶ月=5,000円(家賃への上乗せ分)
  180,000円+5,000円=185,000円となる。
※1…実際には、賃貸入居者の入居年数はもう少し永い

分譲マンションを貸した場合の税金(その1)

「分譲マンションを貸すと、不動産の収入が発生すると思うのですが、税金はかかるのでしょうか?どのような仕組みで、いつ払うのでしょうか?」分譲マンションを初めて賃貸されるオーナー様より、こういった内容の質問を良く頂きます。それでは、分譲マンションを貸した場合の税金はどのような仕組みになっているのでしょうか?

■分譲マンションを賃貸している時の税金について
 分譲マンションを賃貸している場合、入居者の方より受取った家賃等の収入は、不動産の所得となりますので、所得税の課税対象となります。所得税額は、不動産の所得に、他の所得を合算して総合課税されます。
 所得税の課税対象となる「不動産所得」とは、「収入」から「必要経費」を引いた、残りの金額を指します。よくオーナー様よりご質問頂く「収入が発生するから、税金はかかりますか?」の答えは、厳密にいうと「収入から必要経費を引いた際に不動産所得があれば所得税の課税対象となるので税金がかかります。」という事になります。ちなみに、不動産所得が年間20万円以下の場合は非課税となります。(*給与の年間収入金額が2,000万円を超える人 *同族の会社の役員などで、その同族会社にお部屋を賃貸している場合等は対象となりません。)

■不動産所得の計算方法
不動産所得(課税対象金額) = 総収入金額 - 必要経費
■収入金額とは

家賃・礼金・更新料
共益費などの名目で受取る電気代・水道代・掃除代等
その他敷金や保証金などの内、返還を要しないもの

■必要経費とは
 分譲マンションを貸す事に要した費用の内、一定のものは必要経費として収入金額から差し引く事ができます。

土地・建物にかかる固定資産税・都市計画税
修繕費(資本的支出に該当するものは除きます)
損害保険料(その年分のみ)
管理会社への管理費
管理会社へ管理を委託した場合の管理手数料
入居者募集の為の広告宣伝費
税理士・弁理士への報酬で不動産賃貸にかかわるもの
減価償却費
分譲マンション購入の際の借入金金利(事業開始後に支払った部分)
その他の雑費(消耗品等)

 ちなみに、管理会社への修繕積立金・分譲マンション購入の借入金の元本返済分・住民税・所得税は必要経費としては認められません。

分譲マンションを貸した場合の税金(その2)

「分譲マンションを貸した場合の税金その1」で、分譲マンションを貸した場合の税金の仕組みと流れをお話させて頂きましたが、その2では分譲マンションを貸して不動産所得が発生した場合の所得税の算出方法と支払う時期等についてお話させて頂きます。

■所得税の計算について
 所得税額 = {総所得金額(不動産所得+給与所得等その他の収入金額)
       - 各種所得控除額}×税率-控除額-各種税額控除-源泉徴収税額

 他の所得と合算して算出しますので、例えば、Aオーナー様とBオーナー様の不動産所得金額が全く同じであったとしても、Aオーナー様・Bオーナー様それぞれに、不動産所得以外にどのくらいの所得(サラリーマンとしての所得)や控除等があるかによって、収めなければならない税金の金額は変わってきます。

■支払い時期と方法について
 一般的なサラリーマンの方(給料所得者)の場合、他に収入がなければ、会社にて年末調整をしてくれますので、その時点でその年の税額は確定します。会社では、給料所得以外の収入については年末調整してくれませんので、分譲マンションをお貸ししているオーナー様の場合、別途オーナー様自身で不動産所得と給料所得(その他の所得もある場合はその所得)を併せて、確定申告が必要となります。
●確定申告の内容 毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得金額と、それに対する所得税の額を計算し申告をする
●確定申告期間 翌年の2月16日~3月15日までの間
●納税の期限 申告時期の3月15日まで(口座振替納税も可能。その場合は口座振替日)
●確定申告書の提出先 オーナー様の住所地(生活の本拠地)を管轄している税務署

*税理士に確定申告をお願いした場合、報酬は3万円~7万円と言われています。(申告の内容によって異なります)

分譲マンションを貸した場合の税金(その3)

お住まいになられていた分譲マンションを貸す場合、オーナー様が気にされることの一つに「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」があります。こちらにつきましては、お部屋をお貸ししてしまった場合、残念ながら「適用外」となります。

しかしながら、会社都合による転勤等が理由で、居住用として住んでいたお部屋をやむを得ずお貸ししたオーナー様に限っては、貸していた分譲マンションへ戻られて、再び居住用の住まいとして住んだ場合、一定の要件を満たせば、残りの残存期間中のみにはなりますが、住宅ローン控除の再適用を受ける事ができる特別租税措置が取られております。

他の所得と合算して算出しますので、例えば、Aオーナー様とBオーナー様の不動産所得金額が全く同じであったとしても、Aオーナー様・Bオーナー様それぞれに、不動産所得以外にどのくらいの所得(サラリーマンとしての所得)や控除等があるかによって、収めなければならない税金の金額は変わってきます。

尚、お部屋を賃貸していた場合、再適用を受けられるのは、再び戻ってきて住み始めた年の翌年以降の各適用年となります。では、住宅ローン控除の再適用を受けたい場合、どのようなオーナー様が対象となり、どんな手続き等が必要になるでしょうか?
■適用の対象となるオーナー様について
●適用対象者① 住宅ローン控除の適用を既に受けていて、転勤になり転居したオーナー様

勤務先からの転勤辞令その他これに準ずるやむを得ない事情がある事
平成15年4月1日以降に、適用対象の分譲マンションから転居している事
転居した日の属する前年以前において、その分譲マンションについて住宅ローン控除の適用を受けている事
転居の日までに一定の手続きを行っている事

●適用対象者② 居住開始したその年の12月31日になる前に転勤になり転居したオーナー様
つまり、住宅ローン控除の適用を受ける前に、転勤になって転居しなければならないオーナー様
対象者例:マンションを平成21年7月に購入し、平成21年11月に転勤により転居した場合等

勤務先からの転勤辞令その他これに準ずるやむを得ない事情がある事
平成21年1月1日以降に、適用対象の分譲マンションから転居している事
分譲マンションを取得した日から6ヶ月以内に、自己居住用としてお部屋に住んでいた事

以前は、分譲マンションを購入されて、6ヶ月以内に自己居住用マンションとして住み始めてからその年の12月31日まで住み続けていないと、再び自分のマンションへ戻ってきた時に、住宅ローン控除の再適用を受ける事ができませんでしたが、平成21年に税制が変わり、購入して6ヶ月以内に自己居住用としてマンションに住み、その年の途中で転勤になった場合でも再適用が受けられるように変わりました。

ちなみに、分譲マンションを購入して一度も住まずに転勤になられたオーナー様には、残念ながら再適用は該当しませんのでご注意を!

分譲マンションを貸した場合の税金(その4)

「分譲マンションを貸した場合の税金(その3)」では、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の再適用対象となるオーナー様のお話しましたが、その4では、手続きについてお話をさせて頂きます。

■届出をしましょう
適用を受ける為には、「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」等の書類の提出が必要 となります
●提出時期 住宅ローン控除の適応を受けていた分譲マンションに居住しなくなる日まで・・・注1)
●提出方法 届出書を作成の上、持参又は郵送により提出
●提出先 分譲マンションの所在地を管轄する税務署
●添付書類・部数 「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」及び「給与所得者の(特定増改築等)借入金等特別控除申請書」の交付を受けている方は、未使用分の証明書及び申告書の提出が必要
*注1) 原則、この再適用を受ける為には、分譲マンションに居住しなくなる日までに書類を提出する必要がありますが、提出がなかった場合でも、税務署長がその提出がなかった事について、やむを得ない事情があると認めてくれた時には、その届出の提出があった場合に限って、再適応を受ける事もできます。ただ、言葉を返せば、「やむを得ない事情と認めてもらなければ再適応は受けられない」という事ですから、最初に出しておくのが、後々「こんなはずじゃなかった!!」という事にならない秘訣ですね。

尚、上記の届出に該当するのは、「対象者①住宅ローン控除の適用を既に受けていて、転勤になり転居したオーナー様」となります。「対象者②居住開始したその年の12月31日になる前に転勤になり転居したオーナー様」は、事前手続きは不要となります。

分譲マンションを貸した場合の税金(その5)

「分譲マンションを貸した場合の税金(その4)」では、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の再適用を受ける為の、「転居前にやっておかなければならない事」についてお話しました。その5では、再びマンションへ戻ってきた時の手続きについてお話をさせて頂きます。
■届出をしましょう
【対象者①住宅ローン控除の適用を既に受けていて、転勤になり転居したオーナー様】
再び分譲マンションへ戻り、住宅ローン控除の再適用を受ける為には、確確定申告書に、住宅ローン控除を受ける金額に関する記載をするとともに、下記の書類を添付して提出をしなければなりません。

住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)の計算に関する明細書
 (住宅借入金等特別控除額の計算明細書(再び居住の用に供した人用)
適用を受ける分譲マンションの所在地が、オーナー様の住所地として記載されている住民票の写し
金融機関等から交付を受けた「住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書」
給料所得者の方は源泉徴収票

【対象者②居住開始したその年の12月31日になる前に転勤になり転居したオーナー様】
再び分譲マンションへ戻り、住宅ローン控除の再適用を受ける為には、確定申告書に、住宅ローン控除を受ける金額に関する記載をするのと併せて、下記の書類を添付して提出をしなければなりません。

住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)の計算に関する明細書
 (住宅借入金等特別控除額の計算明細書(再び居住の用に供した人用)
当初居住年において居住していた事を証する書類
 (当初、その分譲マンションに居住用として住み始めた日が記載されている住民票の写し等)
転勤の命令その他これに準ずるやむを得ない事由により、その分譲マンションに住めなくなった事を明らかにする書類
金融機関等から交付を受けた「住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書」
登記事項証明書
売買契約書の写し、もしくは建物請負契約書の写し
給料所得者の方は源泉徴収票
耐震基準適合証明書(一定の築年数を経過している場合)
住宅性能評価書の写し(該当するマンションの場合)
長期優良住宅建築等計画の認定通知書(該当するマンションの場合)

オーナー様がご入居中の内覧について

アパートや賃貸マンションの場合、「空き予定」ということで、まだ賃借人が入居されている状態で次の入居者を募集しているお部屋が多数あります。この場合、お部屋を探されている方は、現在の入居者が退去するまでは、お部屋の内覧をする事ができません。一方、オーナー様自身が居住されている分譲マンションを賃貸しようとする場合、オーナー様が居住中のお部屋を見て頂くことに事に問題がなければ、内覧希望の方は、居住中の状態でもお部屋を見ることも可能となります。このような場合、お部屋を探されている方から内覧の希望があった場合、オーナー様は内覧に備えてどんな事に気をつければよいのでしょうか。

(1)オーナー様は笑顔で対応を
良いご縁を招く為には、第一印象がとっても大事。オーナー様から温かな笑顔でお迎え頂けたら、内覧に来られた方の緊張もほぐれ、良い雰囲気の中で内覧をして頂けることでしょう。笑顔で明るくご対応頂く事により、室内の印象も、より温かく明るいものに感じて頂けるはずです。

(2)水廻り関係のお掃除
台所やトイレ・浴室・洗面台等の水廻り設備は、特に女性が気になる部分です。内覧に来られた方は、使い勝手を確認しますが、清潔感も確認されます。より清潔な印象を与えるためにも、事前のお掃除を念入りにしておくと良いですね。

(3)お部屋の片付け
物が散乱していると、お部屋が狭く感じられてしまう事もあります。最大限お部屋の広さをアピールする為にも、お部屋の荷物はスッキリと片つけておきましょう。

(4)収納部分も見せてあげましょう
オーナー様の中には「収納の中まで見られるのは恥ずかしい!!」という方もいらっしゃると思いますが、お部屋を見に来られた方は、自分が住んだ時のイメージをしながらお部屋を内覧します。そして収納とは、誰もがお部屋を決める上で、大きなポイントとなります。オーナー様は、お部屋の全部を隠さず見せてあげる事が、お部屋を気に入っていただけるかどうかの重要なポイントとなります。

(5)カーテンは開けておきましょう
カーテンが閉められた状態のお部屋は、暗く圧迫感を感じられる事もあります。また、内覧をされる方にとっては、眺望や日当りも気になるところ。カーテンが開いていると、お部屋も明るい印象に見えて、そのまま景色も確認頂けるので一石二鳥です。その他、お部屋を明るく見せるためには、窓のない部分は事前に照明を付けておき、時間があるオーナー様へは窓の掃除等もお勧めです。

 お部屋の良いところを最大限にアピールすることが、最も重要となります。オーナー様がご入居中の内覧については、いろいろとご不安な点もあるかと思いますが、当社担当者が必ず立会いますのでご安心下さい。

火災保険について

初めて分譲マンションを賃貸に出されるオーナー様より「入居者の方は、お部屋を借りる時に保険に入ってくれるのですよね?そうであれば、引越しのタイミングで自分がかけている火災保険は解約してもいいですか?」というご質問を受ける事があります。こちらのご質問につきましては、「オーナー様の入っている火災保険は解約しないで下さい。」とお答えしております。

【お部屋を借りる際に、何故入居者に保険へ加入してもらうのか】
 入居者の方と賃貸借契約を結ぶ際、当社では必ず入居者の方へ、そのお部屋に妥当な「借家人賠償責任保険担保特約付きの家財保険」への加入を義務づけております。保険に入って頂く理由として、「家財保険」については、天災等によってお部屋の家財が被害を受けた場合に、それを金銭で保証してくれるものとして、入居者の方にとってとても重要な保険となるからです。また、「借家人賠償責任保険」においては、入居者の方が居住中のお部屋で、火災、爆発・水漏れ等を起こしてしまった場合、入居者の方が、賃貸借関係であるオーナー様に対して、法律上の損害賠償責任を負う事があります。火災や水漏れがあった場合の修繕費用は、入居者さん自身ではとても賠償できないような高額なケースもあり、この「万が一」をカバーするのが「借家人賠償責任担保特約」となるからです。
(注:「借家人賠償責任保険」は、家財保険に特約の一つとしてつけることが一般的です。当社で推奨している家財保険には、その他の特約として「個人賠償責任保険」「修理費用保険」がついております。)

【オーナー様へ、何故保険の継続をお願いしているのか】
 一つ目の理由としては「空室」時の対策が挙げられます。例えば、お部屋に入居者の方がいない空室期間中に、隣のお部屋で火災があり、オーナー様のお部屋が「もらい火」をしてしまったとします。火災に関しては、「火災の責任に関する法律(失火法)」というものが認められておりますので、隣の方の不注意(軽度な過失)で、オーナー様のお部屋が火災による損害を受けても、隣の方はオーナー様へ賠償責任を負わなくて良い事となっております。この様な場合は、オーナー様自身が加入している火災保険を使用する必要が出てきます。
 二つ目の理由としては、入居者の方が入る「保険の適用条件」にあります。「借家人賠償責任担保特約付き家財保険」は、あくまで入居者の方の不注意の場合に適応されますので、隣からのもらい火のような、入居者自身に不始末がない火災等の場合には、やはりオーナー様の保険を使用しなければならない場合があるからです。
 住宅ローンをお支払い中の場合、融資先金融機関より完済の日まで保険の加入を義務付けられるケースが一般的ですので、火災保険に加入されている事が多いですが、現金等で購入した場合やすでに住宅ローンを完済している場合、火災保険に入っていなかった!もしくは保険が切れていた!というオーナー様へお会いする事も良くあります。
 お部屋を賃貸される際には、併せて火災保険加入の確認もしておきましょう。

電気料金の清算・ブレーカーの注意点

分譲マンションのオーナー様より、お部屋を賃貸で貸す時によくお受けする質問があります。それは公共料金の清算についてです。まずガスにつきましては、事前にガス会社へ連絡し、お部屋の明け渡しと同時にガス栓を閉栓しますので、特に問題はありません。次に水道と電気は、お部屋を貸し出す為のリフォームやハウスクリーニング完了日に合わせて、電力会社や水道局へ清算の連絡を行っていただく様にお話をしております(水道料金を管理組合や管理会社が行う分譲マンションは、管理組合や管理会社へ連絡をします)。また電気については、お部屋の明け渡しの際に、お部屋のブレーカーを落としていただくことになりますが(寒冷地の冬は除く)、一部の分譲マンションでは、ブレーカーを落とせない分譲マンションもあります。
 最近、分譲マンションにも設置が急増している防犯・防災などのセキュリティーシステム。中には警備会社さんによる室内セキュリティーが標準装備で設置されている分譲マンションも珍しくなくなってきました。そしてこのセキュリティーシステムは、空室の状態でも作動させなければならず、室内にあるブレーカーを落としてしまうと、セキュリティーシステムが作動しなくなります。こうした分譲マンションの場合は、賃借人が決まるまでオーナー様が継続して電気料金を支払わなければなりません。そして賃借人が決定しましたら、オーナー様が賃貸借契約の開始日の前日に合わせて電気料金の清算を行うことになります。
 何気なくブレーカーを落とした事によって、警報が鳴ってご近所の方々にご迷惑をかけたり、空室時のお部屋のトラブルに気づかなかったり…という事もありますので、弊社では入居者募集を行う際に、管理会社や管理員さんへ上記の内容についても確認し、トラブル防止に努めております。
分譲マンションを貸す時は、分譲賃貸マンションの管理を得意とする管理会社へ依頼しましょう!

リフォームの注意点

リフォーム工事を行ってからお部屋を貸す場合、お部屋のリフォーム工事を行っている間は、人に貸すことができません。当然、その間は賃料の収入もありません。しかし分譲マンションのリフォーム工事を行う場合には、アパートや賃貸マンションのリフォーム工事とは違い、リフォーム工事期間が予定より長引いたり、リフォーム工事を行えなかったりということがあります。では、どのような点に注意してリフォーム工事を行えばよいのでしょうか。
 アパートや賃貸マンションの場合、オーナーがリフォーム業者へ工事を発注すれば、すぐにでも工事を行う事が可能です。しかし分譲マンションには、管理規約が存在しており、その管理規約に定められた内容に沿って、工事の内容を決め、工事の手続きを行ってからでなければ、一般的には工事を行うことができません。例えば、工事期間中に発生する騒音や異臭、不特定多数の工事関係者の出入りなどがトラブルの原因となるため、管理規約には、工事の基準や申請方法、注意点などが謳われています。マンションによっては、工事の内容を掲示板に貼り付けなければならない、上下左右の隣接している居住者から、承諾書をもらわなければならない、工事を申請してから工事開始まで約1ヶ月掛かるなど、様々な分譲マンションがあります。これらの他にも、リフォーム期間が長く掛かる要因として、分譲マンションの場合は、特殊な設備が室内に設置されている事が多く、見積りを作成するのに時間が掛かったり、部品を取り寄せるのに時間が掛かったりということもあります。
 弊社では、リフォームに関する組合への確認や書類の提出などを、オーナー様ではなく当社の社員や提携リフォーム業者にて行っています。
 分譲マンションを貸す時は、分譲賃貸マンションの管理を得意とする管理会社へ依頼しましょう!

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