分譲マンション賃貸トラブル

公共料金の手続き

お引っ越しの前には、電気・ガス・水道・電話・新聞などの公共機関や取扱店へ移転(休止)の連絡をしなければなりません。そしてこれらの連絡を怠ると、思い掛けないトラブルに発展することもあり得ます。
 これは、実際に分譲賃貸で起きたトラブルです。分譲マンションにお住まいのオーナーが、分譲賃貸としてそれまで自ら住んでいたお部屋を貸すために引っ越しをし、その際に水道局へ移転の連絡を忘れてしまいました。オーナーの引っ越し後間もなくして、賃貸の入居者が引っ越してきました。
 数ヵ月後、「もしかしたら賃貸の入居者が支払わなければならない水道料金を支払っているかもしれない。」という連絡がオーナーから入り、状況を調査したところ、やはり賃貸の入居者が使用した分の水道料金をオーナーが数ヶ月間支払っていました。入居者にも事情を聞くと、引っ越し当初、部屋の水道の蛇口を捻ると普通に水が使えたため、特に水道局への使用開始の連絡はしなかったと言います。しかしオーナーの名義の水道料金明細書は、毎月マンションの郵便受けに入っていたはずですので、恐らく賃貸の入居者はこの事実を理解した上で、黙認していたのでしょう。結局、水道料金は、ある程度遡って概算で計算し、入居者にお支払していただきました。
 オーナーの引っ越しの際に、オーナーが移転の手続きをしていれば、その後賃貸の入居者が使用開始の手続きを怠ったとしても、毎月の水道メーターの検診によって、もっと早い段階で解決していたトラブルでしょう。

 

換気扇の蓋

※分譲賃貸へ入居されたばかりの入居者から、「お風呂場や脱衣所の換気扇の換気力が弱いため、お風呂場にカビが発生しそう。」という事で、すぐに現場へ急行する。それぞれの換気口に1枚にしたティッシュペーパーを当て換気力を確かめたところ、空気を吸ってはいるが、確かに威力が無く換気力が弱すぎる。新築でマンションを購入してから約3年間、最近まで住んでいたオーナーへも今までの経緯を確認したところ、確かに換気力は弱いかもしれないが、新築当時から変化していないので壊れてはいないと言う。
 早速、専門の業者(メーカー)に依頼し現場を調査して頂く。その調査結果は、驚くべき結果であった。なんと、換気扇本体とそのダクトを繋ぐ部位にキャップがされたままであり、その僅かな隙間で換気していたと言う。工事が完了し、再び換気口にティッシュペーパーを当てたところ、ティッシュペーパーは換気口に張り付いた。
 このマンションを新築で購入し、新築だからこの換気扇は正常だと思い込んで住んでいたオーナーは、分譲賃貸にして他人が住むことで、思わぬ欠陥を知ることとなった。その他、鍵のシリンダーが引っかかるとか、コンロの火が自然と消えたことがある、壁の中のダクトを流れる水の音が気になる、天井のクロスに自然と染みが浮き出てきた等、少しでも不便や違和感を感じたときには、新築だからと安心するのではなく、大事になる前に早めに対処するようにしましょう。 
※分譲賃貸…賃貸業を目的としたアパートや賃貸マンションとは異なり、分譲マンション(区分所有建物)の所有者が貸主となり、賃貸する場合の総称

 

大規模修繕工事の影響

これは札幌の※分譲賃貸でのトラブルです。札幌という北国の住環境では、住宅にエアコンが付いている方が珍しく、この度のトラブルも一見不思議な出来事ではなかった。
 数年前の猛暑の夏に分譲賃貸に入居されたばかりの入居者(老夫婦)から、「マンションの大規模修繕の為、外には足場が組まれ、マンション全体がネットで覆われている。そのため窓も開けることができず、部屋の中がサウナのように暑い。」という連絡が入る。当然、この分譲賃貸のお部屋には、元々エアコンが設置されておらず、入居者もエアコンなど必要ないだろうと思い、そのまま入居しました。続いて入居者より「契約時に大規模修繕工事があるということは聞いていない。このような工事が予定されていたのであれば、契約はしなかった。」
 この当時の分譲賃貸の取引きにおいて、契約前に大規模修繕工事の有無を確認する習慣は無かった。しかしそれまで住んでいたオーナーは、当然その工事の詳細を知っていたのである。窓を開けれないことはもちろん、バルコニーには作業員が出入りし、工事による騒音も予想できる。入居者からすればあまりにも予想外の出来事だったためか、すぐにでも引っ越したいと言う。扇風機を設置することや、工事期間中の賃料を下げるお話もしましたが、結局は大規模工事期間中に退去することとなりました。
 現在当社では、分譲賃貸の管理のご依頼を受ける際は、オーナーと分譲マンションの管理会社双方へ、大規模修繕工事の予定を事前に確認しております。
※分譲賃貸…賃貸業を目的としたアパートや賃貸マンションとは異なり、分譲マンション(区分所有建物)の所有者が貸主となり、賃貸する場合の総称

 

ハエの大群

ある日、※分譲賃貸マンション(4階)に入居したばかりの入居者から、「窓にハエの大群が張り付いている。」との連絡があり、早速マンションへ急行した。そこで我々が見たものとは、網戸と窓ガラスの隙間から入り込んだと思われるハエ達が、ガラス一面に群がっている状況だった。数にして2~3百匹はいたであろう。取り急ぎ網戸を外し、全てのハエを追い払い、その日の作業は完了する。
 それから4~5日後、またしても入居者から、「また窓にハエが張り付いている。」との連絡があり、虫除けスプレーを用意して現場へ急行した。ハエの数こそ数十匹程度であったが、前回同様に網戸を外し、全てのハエを追い払い、虫除けスプレーを散布した。しかし入居者の方は、特に昆虫類が苦手な方で、「もうこのお部屋には住みたくない。」と言われ、「虫除けスプレーを散布したので、少し様子を見て欲しい。管理員さんや大家さんにも、他のお部屋の状況や過去の状況を聞いてみます。」とお伝えする。
 早速、管理員さんへ確認を取ったところ、「年に1度、4階と7階の部屋にだけ集中的にハエが群がっていたようだ。」とのこと。そして最近までお住まいだった大家さんへ確認すると、確かに年に一度、窓にはハエが群がっていたと言う。しかし大家さんは、年に一度のことなのでと大した気にもせず、その時期になると網戸をパンパン叩いてハエを追い払っていたようです。
 管理員さんと大家さんに聞いたことを入居者へお話したところ、「年に一度と言え、心情的にはもう引っ越ししたい。ハエの件については契約時に聞いていないので、大家さん側に過失があるのではないか。引っ越しに掛かった費用と敷金、礼金、仲介料を返して欲しい。」と言われました。
 結局は争そい事を避け、入居者側の要求をほぼ飲むかたちで事件は解決する。
 弊社ではこのトラブル以降、ハエのみならず、不快害虫(カメムシ・蟻・ワラジムシ・ゴキブリ・カマドウマ等)が頻繁に発生しないかどうかの確認を、全ての大家さんに確認しているようにしております。このような思いもよらないトラブルは、経験しなければ分かりません。分譲マンションを貸す場合は、いろいろなトラブルを経験し、様々なトラブルを事前に対処できる分譲賃貸専門の賃貸管理会社にお任せ下さい。しかしなぜハエ達が4階と7階だけに群がるのかは、未だに不明です。
※分譲賃貸…賃貸業を目的としたアパートや賃貸マンションとは異なり、分譲マンション(区分所有建物)の所有者が貸主となり、賃貸する場合の総称

 

設備と残置物

分譲マンションの賃貸のお部屋には、一般のアパート・賃貸マンションには付いていないことの多い照明器具やカーテン等の備品が付いている場合があります。これらの備品は、以前住んでいたオーナーが置いていったものである場合が多く、賃貸で借りた入居者の方には喜んでいただける場合が多々あります。しかしこれらの備品が原因で、逆にトラブルを生む場合もあります。
 トラブルとは、オーナーはこれらの備品を好意で置いていっただけであり、入居者の使用は自由だが修理・交換までは責任を持ちませんといった場合です。当然、備品が故障すれば入居者はオーナーへ修理して欲しいと言い、オーナーは修理しませんとなることでしょう。単純なトラブルのように思えますが、実は日常茶飯事のトラブルなのです。
 トラブルの予防策は、このような好意で置いていかれる備品であっても、入居者へは契約前にしっかりとその備品の扱い(故障の際には誰が修理・交換しなければならないのか)をお伝えすることです。その為には、オーナーは事前にそれらの備品を「設備」として置いていくのか、「残置物」として置いていくのかを決めておかなければなりません。
「備 品」… 取り外し・持ち運びが容易にできる物と考えれば分かりやすい。照明器具・カーテンのほか、エアコン、ウォシュレット、食器洗乾燥機、ディスポーザー、芝刈り機など。
「設 備」… 設備とは付帯設備のことであり、お部屋と一緒にその備品を貸すという扱いになる。設備の修理や交換が必要になった場合、オーナーの責任と費用負担で対応する。
「残置物」… 残置物の修理や交換が必要になった場合、オーナーには修理・交換の必要がない。しかし賃借人が不要とした残置物は、オーナーが撤去・処分しなければならず、賃借人は許可無く処分・交換・撤去することもできる。また賃借人の入居時点では、残置物は使用可能な状態でなければならない。
分譲マンションを賃貸として貸す場合、事前に備品は「設備」と「残置物」の区別を明確にし、トラブルの起きないように心がけましょう!

 

分譲マンション賃貸の大家さんとは

分譲マンションを賃貸して大家さんとなる方の大半は、元々は自己居住用としてマンションを購入し、何らかの理由でやむを得ず賃貸しているという大家さんです。そして賃貸する理由で最も多い理由が、転勤です。この転勤期間だけ賃貸することを、一般的には「リロケーション」と呼んでいます。しかし残念なことに、この「リロケーション」による賃貸の取引きにおいて、よくトラブルが起きると言われています。その代表的なトラブルの具体例を2つ紹介いたします。
1)原状回復トラブル
  入居者が退去した際、クロスに汚れ、カーペットに凹み、畳が日焼けしていたので、クロス・カーペット・畳を原状回復(張替え)するための費用を請求したが、支払ってもらえない。
 <解説>原状回復とは、貸した時と同じ状態へ復旧するという意味ではない。経年変化や通常の生活による汚れ・傷は、家賃に含まれていると考えるべきであり、入居者へ請求できない。
2)契約解除トラブル
  転勤期間を満了し、賃貸しているマンションへ戻るため入居者へ半年以上前に契約解除の意思表示をしたが、入居者が退去してくれない(または高額な立ち退き料を要求された)。
 <解説>半年以上前に契約解除や契約更新をしない旨を入居者へ通知すれば、契約の解除や更新の拒絶ができるというものではない。契約の解除や更新の拒絶には、やむをえない理由(正当事由)が必要とされており、判例では転勤期間を満了して戻るという理由は、正当性に欠けるとされている。
 トラブルを避けるためには、定期借家契約が有効とされます。

 リロケーションなどで大家さんとなる方は、アパートの大家さんとは違い、賃貸の取引きに関し十分な知識・経験がない、言わば素人の大家さんです。賃貸で家賃という大金を得ることは立派な事業であり、その事業リスクもしっかり認識した上で賃貸経営していかなければなりません。しかし不動産に関する法律の施行や法改正、新たな判例などを日々勉強することは、大変困難を極めます。

 分譲マンションを貸す時は、※分譲賃貸の管理を得意とする賃貸管理会社へ依頼しましょう!

 

騒音トラブルの思わぬ落とし穴

分譲マンションとは共同住宅であり、共同住宅であるゆえのトラブルも多数発生します。その中でも特に解決が難しく頻繁に耳にするトラブルの中に「音のトラブル」があります。音といっても、故意的に発生する騒音と生活をしていれば自然に発生する生活音とに分けることができます。子供が走り回る足音や夜中の洗濯機や楽器の演奏音、ステレオなどのスピーカー音などは騒音となり、トラブルの原因になることは誰もが理解できます。しかし日常の歩行音、ドアの開閉音、トイレの水が流れる音などの生活音が原因でトラブルになることもあります。今回のトラブルとは、※分譲賃貸において入居者とその下階に住む居住者との間で、日常的な生活音が原因でトラブルになった事件簿を紹介します。
 ある日、弊社に「お宅が管理している部屋の下の階に住んでいる者だが、上の賃貸で借りている入居者の子供が部屋で飛び跳ねているようで、その音がうるさくて困っている。何とかしてくれ。」という電話が入り、早速弊社の社員2名が現地へ駆け付けました。今までにも上下階同士で何度かつまずき合いがあったようで、すでにお互いが感情的になっていた。取り急ぎ※分譲賃貸として入居していただいている賃貸の入居者へ事情聴取を行うが、「確かに部屋で子供が飛び跳ねていたことはあったが、下の階の方から注意されてからは子供に言い聞かせ、それ以後は殆ど部屋では飛び跳ねていない。またフローリングの上にカーペットも敷くようにした。」その旨を下の階にお住まいの居住者へお話しすると、「昨日も今日も以前と変わらないくらい音がしている。」とのこと。音のトラブルとは、音の感じ方に個人差があるということが原因である場合が多く、それを確かめるために弊社の社員が上下階に分かれ、携帯電話を使用して実際に上階で飛び跳ねた時の音を下階で確認するという方法を取る。確かに「ドン」という音はするが、非常にジャッチが難しい程度の音である。結局、上階の賃貸入居者には、「今まで以上に気を付けて生活して下さい。」と注意するのみで、下階の居住者にもその件をお伝えし、「これ以後は管理組合で間に入ってもらい解決するしかない。」と伝える。
 なぜこのような事件が起きたかというと、以前住んでいた上階の大家さんとはお年寄りの一人住まい。大家さんが自ら住んでいた時は、下階の方が音に敏感であるということを知ってからは、まな板の下にタオルを敷き包丁を使用するというくらい、音に対して神経質に生活していたとのこと。そのため、その※分譲賃貸としたお部屋にごく一般的なお子様のいらっしゃるご家族が入居されただけで、今までとの音のギャップに驚いた下階にお住まいの方から苦情が来たというのが原因です。
 この事件以降、弊社では分譲マンションを貸そうとされる方には、過去・現在において音のトラブルがあるかどうかの確認はもちろん、音のトラブルがあるという場合には、賃貸する前にその相手方と話し合い、対策を講じてから活動するようにしております。
 分譲マンションを貸す場合は、いろいろなトラブルを経験し、様々なトラブルを事前に対処できる弊社にお任せ下さい。

※分譲賃貸…賃貸業を目的としたアパートや賃貸マンションとは異なり、分譲マンション(区分所有建物)の所有者が貸主となり、賃貸する場合の総称

 

ペット飼育の思わぬ落とし穴

世の中のペットブームを反映してか、最近ではペットとの暮らしをコンセプトにしたペット飼育可能な分譲マンションが数多く建築されている。しかし一昔前の分譲マンションは、新築当初からペットの飼育を禁止しているマンションが多く、近隣住人に見つからないようにと密かにペットを飼育されている方もいることでしょう。今回の事件簿は、管理規約ではペットの飼育が禁止されているにも関わらず、お部屋で内密にペットを飼っていた大家さんの事件簿である。
 今回の※分譲賃貸の大家さんは、お部屋で内密に犬を飼育していましたが、管理規約ではペットの飼育が禁止されていたため、「ペット飼育禁止」として入居者を募集していました。間もなく賃貸の入居者が見つかり、ペットを飼育していないことを確認して賃貸借契約を締結し、無事引っ越しも完了。すると入居してすぐに入居者から、「この分譲マンションは、管理規約でもペットの飼育を禁止しているし、賃貸条件にもペット禁止となっていましたが、以前住んでいた大家さんは、何かペットを飼っていましたか?」と電話が入り、前入居者の大家さんが内緒で犬を飼育していたことをお伝えすると、「子供がペットアレルギーのため、ペットの飼育ができないマンションであればアレルギー反応が出ないだろうということで、このお部屋を借りました。まさか大家さんがペットを飼っていたとは思いませんでした。」
 結局、入居者は入居後すぐに退去せざるを得なく、その引っ越しに掛かった費用を大家さんが負担するということで賃貸借契約が数日で解除されました。
 弊社ではこのトラブル以降、ペットを飼っていたお部屋を賃貸する場合は、管理規約に関係なく入居希望者へその旨をお伝えするようにしております。このような思いもよらないトラブルは、経験しなければ分かりません。分譲マンションを貸す場合は、いろいろなトラブルを経験し、様々なトラブルを事前に対処できる※分譲賃貸専門の賃貸管理会社にお任せ下さい。

※分譲賃貸…賃貸業を目的としたアパートや賃貸マンションとは異なり、分譲マンション(区分所有建物)の所有者が貸主となり、賃貸する場合の総称

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